投資目標達成のために、実行可能な投資計画を立てましょう!

前回は投資成功の第一歩として、明確な投資目標を持ちましょうと申し上げましたが、投資目標を達成するためには無理のない実行可能な投資計画を立てることが必要です。企業で言う事業計画です。という私もFPとして独立開業するにあたり、信用金庫から融資を受けるための事業計画を作成いたしました。事業計画を立てたおかげで、資金の流れを正確に把握することができ、事業も順調にスタートさせることができました。投資についても同様のことが言えるのではないでしょうか?

無理のある投資計画であれば、投資目標と投資成果の乖離が大きくなったり、投資行動自体が継続不能となったりして、投資計画は破綻してしまうこととなります。現在の生活水準を大きく変えることのない投資計画を立てていきましょう!

投資計画の項目を申し上げますと、①投資目標、②目標投資収益率(目標投資リターン)、③投資期間、④金融制度、⑤投資対象、⑥投資商品、⑦投資手法の7つとなります。個々の投資家のおかれている状況に応じて、この7つの項目を適切に組み合わせることが、投資目標を達成するための重要なカギとなってまいります。

ご自身の収支状況からみて投資目標自体は高すぎではないのか?②目標投資収益率は実現可能なものか?③投資期間は十分にあるのか?④最も節税できる金融制度はなにか?⑤期待収益率が高い投資対象はどの金融資産なのか?⑥最もコストの低い金融商品はどれなのか?⑦最もリスクを軽減できる投資手法なになのか?というように、それぞれの項目について精査した上で、項目どうしの組合せ効果も考慮して投資計画を立てていきます。こうした実行可能な投資計画を立てることにより、投資目標を達成する可能性は飛躍的に高まることとなります。

次回以降は投資成果に最も影響する目標投資収益率(目標投資リターン)を向上させる要素と安定させる要素についてお話を進めていきたいと思います。

マネー・マネジメントFPオフィス 代表 前田 敏

一度に多額の購入

失敗例は退職金や相続等により一度に大きな金額のお金を手にしたときに起こっています。大きな金額のお金が入るとたいていの場合、証券会社や銀行の担当者が強いセールスで投資信託を勧めてきます。勧めてくる投資信託は短期間で大きく値上がりしている株式投信が主流となり、そのため大きく値下がりするリスクもあります。そして、大きく値下がりした時は、大きな含み損を抱えることとなり、その含み損の大きさに動揺して損切りしてしまうケースが代表的な失敗例となります。

くれぐれも、株式投信のようなリスクの高い投資信託を一度に多額の購入をすることは避けましょう。

商品内容を理解しないで購入

失敗例は銀行や証券会社の担当者まかせにしたときに起こっています。とくに、リスク限定タイプや仕組債に投資するタイプなど複雑なスキームの商品を担当者の勧めで購入し、マーケットが活況になっているのに上昇しないとか、投資対象の仕組債がいつの間にかインデックスファンドになって大きな損失が出ていた、などのことが代表的な失敗例となります。ひどいケースでは購入を勧めた販売員ですら商品内容を理解していなかったこともあります。

担当者まかせにはしないで必ず商品内容を理解したうえで投資判断をしましょう。また、コールセンターがある投信会社の商品でしたら、ぜひ、コールセンターに電話をして商品内容を確かめましょう。

短期売買での手数料増

この失敗例は担当者の勧めた商品がある程度の利益が出だしたときに起こっております。担当者は手数料目当てに違うリスクの高い商品への乗り換えを勧めてきます。

例えば、手数料3.3%(消費税込み)の商品を3回乗り換えるだけで1割程度の手数料を支払うことになります。相当うまく乗り換えを行わないと、手数料が負担となって利益を出すことは困難となります。そして、相場の急落に直面した時は、手数料と値下がりのダブル・パンチを被ることとなります。

手数料が高いから値上がりしやすいということはございません。3%以上の手数料の商品を購入する時は、よくよく熟慮のうえで投資判断をしましょう。購入した場合は短期間で急騰するようなケースを除き、基本的には中長期保有のスタンスで臨みましょう。

ゼロ金利下での国内債券ファンドの購入

現在、国内金利はゼロ金利の状態にあります。従いまして、国内債券に投資をしてもインカム・ゲインはほとんど期待できません。そして、市場金利の上下によって変動するキャピタル・ゲインとキャピタル・ロスですが、ゼロ金利がさらに低下してマイナス金利にならないとキャピタル・ゲインは期待できません。また、金利が上昇すればキャピタル・ロスが生じます。そのうえ、投資信託には信託報酬という管理費用が差し引かれます。

中期国債ファンドやMMFが運用難のため繰り上げ償還されたのと同様に、ゼロ金利下における国内債券ファンドはプラスのリターンが、ほぼ期待できないものと考えられるので、お勧めできません。

レバレッジ・ファンドの長期保有

投資の三原則の1つに長期投資がありますが、例外的にレバレッジ・ファンドは長期保有には向いておりません。

例えば、日経平均の騰落率の2倍の値動きをするレバレッジ・ファンドの場合、日経平均が1年で10%上昇したからと言って、レバレッジ・ファンドが20%上昇することはありません。あくまでも、1日の値動きに対して騰落率の2倍の値動きをするのです。

そして今回は詳しい説明は省略させていただきますが、レバレッジ・ファンドの場合、値上がりすれば、値上がりした部分にも2倍のリスクをとります。値下がりすれば、値下がりした部分のリスクを縮小することとなります。そのため、値上がりと値下がりが繰り返されることにより日経平均の水準が変わらない場合でも、レバレッジ・ファンドが値下がりすることが起こります。

このようにレバレッジ・ファンドは長期的な投資に向かない商品ですが、短期的な売買を繰り返していると③のように、手数料増となりますので注意しましょう。

まとめ

今回は投資信託の代表的な失敗例として

一度に多額の購入
商品内容を理解しないで購入
短期売買での手数料増
ゼロ金利下での国内債券ファンドの購入
レバレッジ・ファンドの長期保有
上記の5つの例を紹介させていただきましたが、この5つの失敗例に限らず失敗するにあたって共通することは、商品内容、商品のリスクを理解していない、担当者任せになっていることが挙げられます。

特に大きな金額での購入を検討されているときは、投資判断は熟慮の上で行うことをお勧めいたします。