投資成功の第一歩として、明確な投資目標を持ちましょう!

企業に5年で売上倍増といった売上目標があり、高校生に〇〇大学合格といった合格目標があるように、投資にも達成するための投資目標が必要です。残念ながら、日本では投資を含むお金に関する教育をしてこなかったために、明確な投資目標をもって投資をされている方が非常に少ないのが現状です。

投資目標がないため、「儲かりそうだから買ってみた。」とか、「なかなか上がらないので違う銘柄に乗り換えてみた。」といった投資行動をしている投資家が多く見受けられます。そうした投資行動を続けることにより、投資で成功するための大切な要素の1つである時間を無駄に消耗し、投資で成功する可能性をますます低くしております。

そうした投資の失敗をなくすためにも、明確な投資目標を持つことが大切なのです。明確な投資目標を持てば、目先の損益に一喜一憂することなく、投資を継続することができます。そして、投資で成功する確率も飛躍的に高まることとなります。

それでは、明確な投資目標とは具体的にはどういうものなのでしょうか? 老後の資金問題から、今、一番話題になっている「老後の生活資金として65歳時点で2,000万円の金融資産を確保する」といった投資目標を持たれるのが、最も良いのではないでしょうか?

あるいは、若い方々であれば、「マンションの頭金として10年で1,000万円の金融資産を確保する」といった投資目標を持たれるのもいいと思います。

いずれにせよ、明確な投資目標を持たれることが、投資で成功する大切な第一歩となるのです。そして、次回は投資目標を達成するための投資計画です。企業で言えば売り上げを2倍にするための中期5ヵ年計画といったところでしょうか? 投資目標を達成するための無理のない投資計画の立て方について、分かりやすく解説させていただきたいと思います。

マネー・マネジメントFPオフィス 代表 前田 敏

一度に多額の購入

失敗例は退職金や相続等により一度に大きな金額のお金を手にしたときに起こっています。大きな金額のお金が入るとたいていの場合、証券会社や銀行の担当者が強いセールスで投資信託を勧めてきます。勧めてくる投資信託は短期間で大きく値上がりしている株式投信が主流となり、そのため大きく値下がりするリスクもあります。そして、大きく値下がりした時は、大きな含み損を抱えることとなり、その含み損の大きさに動揺して損切りしてしまうケースが代表的な失敗例となります。

くれぐれも、株式投信のようなリスクの高い投資信託を一度に多額の購入をすることは避けましょう。

商品内容を理解しないで購入

失敗例は銀行や証券会社の担当者まかせにしたときに起こっています。とくに、リスク限定タイプや仕組債に投資するタイプなど複雑なスキームの商品を担当者の勧めで購入し、マーケットが活況になっているのに上昇しないとか、投資対象の仕組債がいつの間にかインデックスファンドになって大きな損失が出ていた、などのことが代表的な失敗例となります。ひどいケースでは購入を勧めた販売員ですら商品内容を理解していなかったこともあります。

担当者まかせにはしないで必ず商品内容を理解したうえで投資判断をしましょう。また、コールセンターがある投信会社の商品でしたら、ぜひ、コールセンターに電話をして商品内容を確かめましょう。

短期売買での手数料増

この失敗例は担当者の勧めた商品がある程度の利益が出だしたときに起こっております。担当者は手数料目当てに違うリスクの高い商品への乗り換えを勧めてきます。

例えば、手数料3.3%(消費税込み)の商品を3回乗り換えるだけで1割程度の手数料を支払うことになります。相当うまく乗り換えを行わないと、手数料が負担となって利益を出すことは困難となります。そして、相場の急落に直面した時は、手数料と値下がりのダブル・パンチを被ることとなります。

手数料が高いから値上がりしやすいということはございません。3%以上の手数料の商品を購入する時は、よくよく熟慮のうえで投資判断をしましょう。購入した場合は短期間で急騰するようなケースを除き、基本的には中長期保有のスタンスで臨みましょう。

ゼロ金利下での国内債券ファンドの購入

現在、国内金利はゼロ金利の状態にあります。従いまして、国内債券に投資をしてもインカム・ゲインはほとんど期待できません。そして、市場金利の上下によって変動するキャピタル・ゲインとキャピタル・ロスですが、ゼロ金利がさらに低下してマイナス金利にならないとキャピタル・ゲインは期待できません。また、金利が上昇すればキャピタル・ロスが生じます。そのうえ、投資信託には信託報酬という管理費用が差し引かれます。

中期国債ファンドやMMFが運用難のため繰り上げ償還されたのと同様に、ゼロ金利下における国内債券ファンドはプラスのリターンが、ほぼ期待できないものと考えられるので、お勧めできません。

レバレッジ・ファンドの長期保有

投資の三原則の1つに長期投資がありますが、例外的にレバレッジ・ファンドは長期保有には向いておりません。

例えば、日経平均の騰落率の2倍の値動きをするレバレッジ・ファンドの場合、日経平均が1年で10%上昇したからと言って、レバレッジ・ファンドが20%上昇することはありません。あくまでも、1日の値動きに対して騰落率の2倍の値動きをするのです。

そして今回は詳しい説明は省略させていただきますが、レバレッジ・ファンドの場合、値上がりすれば、値上がりした部分にも2倍のリスクをとります。値下がりすれば、値下がりした部分のリスクを縮小することとなります。そのため、値上がりと値下がりが繰り返されることにより日経平均の水準が変わらない場合でも、レバレッジ・ファンドが値下がりすることが起こります。

このようにレバレッジ・ファンドは長期的な投資に向かない商品ですが、短期的な売買を繰り返していると③のように、手数料増となりますので注意しましょう。

まとめ

今回は投資信託の代表的な失敗例として

一度に多額の購入
商品内容を理解しないで購入
短期売買での手数料増
ゼロ金利下での国内債券ファンドの購入
レバレッジ・ファンドの長期保有
上記の5つの例を紹介させていただきましたが、この5つの失敗例に限らず失敗するにあたって共通することは、商品内容、商品のリスクを理解していない、担当者任せになっていることが挙げられます。

特に大きな金額での購入を検討されているときは、投資判断は熟慮の上で行うことをお勧めいたします。